まさかのドラマ化!『極主夫道』の一度読んだら忘れられない衝撃とその魅力を読み解いてみた

2020年秋ドラマ化!伝説の極道が主夫に!?
もう絵面だけでも面白いのに、中身はもっと面白い…
シュールギャグだけではない、家事の共感と面白さ、そして任侠の成分が混ざり合い、びっくり化学反応を起こして読む手が止まらない…!!
手際よく、丁寧にお弁当を作るその姿はあまりにも面白い
極道が主夫…と考えるとヤクザが主夫をやるものだと思いがちですが、 本作では元ヤクザが主夫をやる、つまりヤクザから足を洗ったのに極道が抜けきらないまま主夫の腕前が上がりまくった男の物語です。 なので抗争や犯罪は一切なく、むしろ正しく豆な丁寧すぎるほど腕のたつ主夫・龍の日常劇。 つまり、反対の構造に拘りまくる、究極のギャップ萌え作品でもあるのです。 1巻のお弁当に詰める卵焼きを切る画ですが、あまりにも絵面が面白すぎる。 何より注目したいのがキッチンとお弁当のレイアウト。 あまりにも綺麗に使っており几帳面さがうかがえます。
バタバタと登場する美久のキャラクター性が2コマで解る構図
そして騒がしく会社へ飛び出していくキャリアウーマンであり一般人の妻の美久。 この時点でもお互いの属性が”反対”の位置を示しているという構図になっているんですね。 そしてなんといっても、おおのこうすけ先生の丁寧で説得力のある画力がこの作品の面白さをさらに引き立てています。 シュールギャグとしても日常共感劇としても面白い!

✔垣間見る極道の痕跡

日常のやり取りに混ざる極道用語にじわり
元・伝説のヤクザ”龍”の生活の中で切り離せないもの、それは極道用語・隠語。 あえて抜けきらないその言葉遣いとルックスを、日常に置き換えて使う事でキャラ立ちと面白さを引き立てています。 知らない人から見るとそれは立派なヤクザですが、 ご近所さんや顔見知りからはひょうきん者で通っているようで、 ちょっとした主婦仲間たちとの交流が垣間見えるとほっこり、かわいい龍。 お手本のような主夫の龍ですから周りからも頼られるんですね。 そんな龍さんの立ち振る舞いと、その抜けきれない極道文化の融合が、 なんとも言い難い中毒性を生んでいるんですね。

✔武闘派の妻・美久

龍にはドンドン踏み込んでいく美久は意外と姉さん女房
物語によく登場する妻・美久。彼女もこの作品の魅力のひとつでもあります。 几帳面な龍とはうらはらになかなか大胆な性格のようで、家事をすると大変な事に… そしてちょいちょい見せる龍との絡みではその手で龍を止めるコトも。 なかなかの武闘派で、もしかすると龍より力が強いからこそ成り立つ夫婦なのではないでしょうか。
“好き”に一直線な美久がよくわかりますね
そして、美久の趣味のひとつとして描かれる女の子向けアニメのポリキュア。 すごく細かいんですが、1巻冒頭のお弁当箱の蓋もポリキュアだったんですね。 アニメが好きでキャリアウーマンで腕っぷしが強い一般人の美久がいるからこそ、 龍は癒され美久のためにも家事を頑張れるんですね。

▼ 作品情報 ▼

極主夫道

著者:おおのこうすけ


(C)おおのこうすけ/新潮社