【感想】書店員の読書感想メモ。『ラブ・バレット(著:inee)』恋の形は多種多様、不定形で不安定なものに運命はあるか。

※当コラムはあくまで執筆者の私見と個人的な感想です。

恋の形には多種多様。人によってその正解は変わるもの。
不定形で不安定で、どうなるかは運命でもわからないようなもの。

キューピッドたちはそんな恋の行く末を、どうすればよいか、時には議論し喧嘩して恋を成就させる。
弓矢なんて古い、今時の恋のキューピッドは銃で心を射抜くのだ。
そんな恋のキューピッドたちの視点から、様々な恋模様を見届けるロマンティック・ガンアクション作品。
ガンアクションとあるが、もうひとつの見どころはドラマ部分にある。

登場する人物たちの小さな物語を、客観的に観察しながら考察しながら物語は進んでいく。
キューピッドたちの目で観察してきた人間たちの恋の行方をどう判定するのか、揺さぶるのか、その議論の様子はさながら若い女の子の恋話のようでおもしろい。
三角関係の解決方法は?この子はどっちと付き合えばお似合い?それだとこの3人の関係が決裂してしまう。。
意見が割れれば銃を取り出し喧嘩へ発展、ガンアクションの開幕。
ドタバタ騒ぎで大暴れする姿は爽快だが、その銃は恋を成就させるもの。流れ弾で巻き込まれた人に恋心が芽生えたりする描写はコミカルで面白い。
もしかして、急な一目ぼれや雷にうたれたように恋をする時は、こういう事で巻き込まれているのか!?と、読者の現実世界でもリンクする。

この作品のオムニバス性はもちろんだが、キューピッドたちのキャラクターや設定がかなり恋の成就に絡んでくる。
最初に、新人キューピッドのコハルについて語られていく事になるのだが、
コハルの過去・初任務では現実を直視させる残酷さと、恋物語としてのエモーショナル・尊さを感じられる構成となっている。
ポップでかわいいビジュアルとはうらはらに、読み進めていくと涼し気でさわやかな空気の中、ふと心を刺すような切なさに感動するだろう。
そしてキューピッドたちは恋をすることを許されない。キューピッドがお互いに弾を打ち込んでも嫉妬や妬みで頭がいっぱいになるだけなのだ。

そんな恋のキューピッドたちは、それぞれどんな背景を持ち、どのような現実を目の当たりにするのだろうか。
恋や愛の在り方に向き合うロマンスを求めるならこの作品をおすすめしたい。
ラブ・バレット
著:inee
(C)inee 
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三角関係の解決法をめぐってキューピッドたちが言い争い...からの撃ち合いに!? 個性豊かなJKキューピッドたちが繰り広げる、ロマンティック・ガンアクション!!