本当に怖いのは自分の欲望…止まらない不倫の泥沼・禁断大人恋漫画『私たちは、歯止めがきかない』どんな作品?

さわやかで人気のあの男の本性は―――ケダモノ。
家庭を持っているのに、、自分の欲望に気が付いてしまったらもう…
泥沼にハマっていく、過去の憧れと、現在の背徳の物語。
人気者の彼は、かつて憧れた先輩だった…
歯科衛生士として働く夏子は結婚をして、それなりに充実した日常を送っていた。
そこに、学生時代に憧れ、そしてトラウマを植え付けられた男・阿蘇が歯科医として現れた。
表向き顔が良く、すぐ人気者になる阿蘇の本性は…ケダモノ。
嫌悪感を露わにする夏子だったが、彼との邂逅により自分の”欲望”に気が付いてしまう。

あらすじとしてはいわゆる不倫もの、であるが夏子自身の欲望と葛藤の物語が主体となっています。
いけない事に一歩踏みこむことで再度気づかされ、止められなくなる…
そして、阿蘇のアプローチが拍車をかける、禁断の大人恋とドキドキハラハラの展開に…
本当のトラウマは自分自身の心なのかもしれない…

✔自分の気持ちとすれ違い

過去に無理やり責められた記憶が忘れられず…
夏子の結婚生活は実は冷め切ったものだった。
夫との気持ちのすれ違いもあったであろうが、本当は自分の気持ちと思いがすれ違っていたのかもしれない。
本作は王道の恋愛とは違い、それぞれの気持ちが膨れ上がった末の禁断の恋。
そのスリルとアブナイ関係、そして過去に刷り込まれた彼の激しい感情が、忘れられない”愛”となって夏子の気持ちを昂らせます。

それは冷えた結婚生活での自分の気持ちと、理性と心がすれ違っていた結果なのかもしれない。
と、考えさせられる作品です。
本当に愛するとは、自分の好きとはなにか…読むにつれ露わになる欲望が恐ろしいのです。

✔目が離せない展開

ずぶずぶとハマってしまう、禁断の愛…
たまたまの”再会”が、”運命”なのか、抜け出せなくなる夏子はついに現実に目を向けなければ…
という展開に発展していくのですが、それが程よくリアルで目が離せない…!
まさに「歯止めがきかない」状態にハマってしまった夏子と阿蘇はどう選択していくのか、そして阿蘇の本心は一体…?

1巻を読んだ段階では、これからどう掘り下げられるのか、ドキドキと共にハラハラ。
不倫モノとして切ない背景と、それぞれの気持ちのすれ違いが心を締め付けます。
そして、森石さなしろ先生の丁寧でセクシーな線で紡がれるラブシーンは必見。
息遣いまで聞こえてきそうな描写と背徳感に手に汗にぎります。

▼ 作品情報 ▼

私たちは、歯止めがきかない

著者:森石さなしろ


(C)森石さなしろ/デジカタ編集部