【イベントレポート】ベツコミ創刊55周年記念展「ベツコミ55th ANNIV. BEYOND THE PAGE 好き、のつづき。」魅力の全貌&最富キョウスケ先生の特別インタビュー!

2025年10月3日(土)〜10月13日(月・祝)の期間、LUMINE 0 ニュウマン新宿店 5Fにて開催されるベツコミ創刊55周年記念展「ベツコミ55th ANNIV. BEYOND THE PAGE 好き、のつづき。」のメディア向けプレビューが開催されました。

1970年に「別冊少女コミック」の名で歴史をスタートさせた「ベツコミ」。
今年創刊55周年を迎えることとなった「ベツコミ」の名作たちが大集結。
その名作たちが語るのは、少女まんがの素晴らしき度量の広さ。
多様な作品たちはいつの日も照らし、多くの物語と、物語を愛する読者の手によって想いを紡ぐ。

今回は、そんなベツコミ創刊55周年記念展「ベツコミ55th ANNIV. BEYOND THE PAGE 好き、のつづき。」の様子をお届けします!
さらに、『電撃デイジー』や『クイーンズ・クオリティ』で知られる最富キョウスケ先生の特別インタビューも!
最後まで読み逃しなく!

名称:「ベツコミ55th ANNIV. BEYOND THE PAGE 好き、のつづき。」
会期:2025年10月3日(金)〜10月13日(月・祝)
開催時間:平日 11:00〜20:30/土日祝 11:00〜20:00
(初日:15:00〜20:30/最終日:11:00〜15:00)
開催場所:LUMINE 0 ニュウマン新宿店 5F
主催:株式会社小学館

特設サイト:https://betsucomi-55th.flowercomics.jp/event

「好き」が溢れる大迫力のイマーシブ映像!

入場すると、ベツコミのこれまでの歩みを振り返るプロローグが続いている。
年代ごとに名作や歴史がまとめられており、少女マンガファンには感慨深いだろう。

そのプロローグを通り抜けると「ベツコミ55th ANNIV. BEYOND THE PAGE 好き、のつづき。」の目玉のひとつ、「イマーシブゾーン」へ。
高さ4メートル、幅20メートルを超える巨大なワイドスクリーンシアターで展開される、圧巻のイマーシブ映像は、実際に体験すると迫力とその歩んできた様々な物語の波に意識がさらわれた。まさに大迫力の"没入"映像だ。

55年分の人気作品の中から厳選された16作品の名シーンが最新技術により蘇り、まるで作品世界に入り込んだような感覚に。視界いっぱいに広がる名シーンのコマが動き、効果音とあわさって作品の世界を堪能できる。
写真だけではこの感動のすべてを伝えることはできないが、濃縮された約35分の映像からは「好き」が溢れてくる。
「ベツコミ」の名作たちが生み出した物語に描かれる気高さ、絆、きゅん…そのすべてを新たな視点と体験とともに体感しよう。

「制作過程」に着目した、貴重な展示の数々。

大迫力の"没入"映像のイマーシブゾーンに続くのは、「体感ゾーン」だ。
作品の「制作過程」に着目し、ここでしか見ることのできない貴重な資料を展示する。
「プロット」「ネーム」「下書き」「ペン入れ」など制作過程を順に展示するものや、注釈や制作においてのメモなどの貴重な資料、そして作画風景をタイムラプスで撮影した映像などここでしか見られない展示はファン必見。

名作たちがどのように生まれ、完成したのか、どう絵が描かれてきたのか、その一部を見ることができる。
時代とともに移り行く制作過程の変化や、変わらぬ想いを感じ、体感できるだろう。

さらに、人気作家さんへの質問を展示する「語る、ベツコミ。」や現在の作品を紹介する「ベツコミの、イマ。」などのコーナーも展開している。
従来ファンはもちろん、現在のベツコミファンにも嬉しいてんこ盛りの内容だ。
ベツコミ愛のあふれる、まさに55周年の記念にふさわしい展示ではないだろうか。

55年を彩った人気作家たちの原画が大集結!

「体感ゾーン」をぬけると、「原画ゾーン」へ。
原画ゾーンではこの55年を彩った人気作家たちの原画を多数展示している。
筆跡、ホワイト跡、など一筆ごとに魂を込めて描かれた作品たちを実際に目の前にすると、改めて漫画は漫画家たちの手で生み出されたことを再認識する。

あの頃読んでいた想い出の漫画、青春を彩った漫画、夢中になって読みこんだ漫画、さまざまな想いがこみあげてくる。
多様な作品性がいつの時代も、誰かの明日を生きる力となってきた。
そんな「ベツコミ」と作家たち、そして読者が紡いできた「好き」がそこにあった。

もちろん、オリジナルグッズも

会場の最後には、「オリジナルグッズ販売」コーナーももちろんあります!
『ベツコミ55周年 公式図録』はもちろん、名作たちをかわいくデザインしたポーチやコレクション性の高いアクリルグッズの数々。
さらに、デジタルサイン入りの複製原画や、キャラクターたちの等身大パネルなど豪華でアニバーサリーにふさわしいグッズがたくさん!

また会場では、『ベツコミ55周年 公式図録』に会場限定カバーがついてくるので必見。
ぜひ、チェックしておこう。

最富キョウスケ先生・特別インタビュー

今回の取材では、『電撃デイジー』や『クイーンズ・クオリティ』でも知られる最富キョウスケ先生のインタビューも実施された。
ソクマガも参加させていただき、いくつかのご質問にお答えいただきましたので、ファンのみなさまにお届けいたします!

インタビューは終始、和やかな雰囲気で時折、想いがこみあげてくる場面も。
最富キョウスケ先生のお人柄と少女マンガへの想いがまっすぐに伝わるような会となりました。


●会場では多くの貴重な原画の数々が展示してありましたが、これから見にくるファンたちに、最富キョウスケ先生が作品に対してこだわっている部分や見てほしい部分などありましたら教えてください。

最富キョウスケ先生(以下、最富先生):せっかくなので原画であれば、どの作家さんでも一本一本の線に命を込めて描いてるというのを、見ていただければ伝わると思います。例えば「ここに、こうホワイト入れてる」っていう事とか、そういう筆遣いを見ていただきたいなぁと思いますね。

もちろん原画だけではなく印刷されたものでも、「"みどころ"になる」所を編集さんたちが、真剣に愛を込めてチョイスしてくださっています。
「私たちこういう漫画が好きだったんだ」というのがわかるような構成になっていますので、気楽に見ても帰るときに「あぁ、少女マンガっていいな、最高だな」という気持ちになる、伝わるようになっているんじゃないかなと思います。

●では、今回の展示物や使用する名シーンの選定なども、ベツコミで執筆される作家の皆様や編集さんたちみんなで作り上げてきたんですね。

最富先生:はい、すべてではないですが、編集さんからのご相談やお話の中で選んだものもあります!

●今回の記念展ではベツコミの歴史を振り返るような素敵な展示会となっていますがこれから先、最富先生が描きたいものや、少女マンガもこう進化いくといいな等、先生のお言葉でお伺いできれば幸いです。

最富先生:ベツコミは「これぞ少女マンガ」というものもありながら、私が描いているようなアクションやファンタジーなど、バランスよく入っているチャレンジ性の高い雑誌なのかなと思っています。
その一方で、少女マンガの女の子と男の子の恋愛の部分、ちゃんと基本を大事にしつつ、新しい事をやっていた雑誌なんじゃないかなと思っています。
だからこそ、時代に合わせて変わっていこうというだけではなく、いままでのベツコミの良さも大事にしてほしいなとも思います。

もちろん、少女マンガは女の子のために描くものでもありますが、私は男の子にも読んでほしいなと思う事もあります。
ベツコミの漫画は男性が読んでも、面白いし、なにか気づきがあるんじゃないかと思いますね。
そこは、これから先の可能性もあるのではないかと思います。

●たしかに、本屋さんはもちろん、電子で読むという機会も多くなり、メディア化する作品も多く新しい読者層も多く見ているなと思いますね。

最富先生:そうですね、これから先まだまだ読んでいただける層は増えていくんじゃないかなと思っています。

●最富先生ご自身も、執筆する中でアナログからデジタルへ移行したなどはあると思いますが、時代が移るにつれて意識や作品へのスタンスなど変化したものはありますか?

最富先生:私自身は、これまで「描きたいものを描く」でやれてきたのであまり変わったものはないかなと思います。

ただ、細かい話になりますが『電撃デイジー』の黒崎や照は私の描きたいキャラクターであることは変わりないですが、「このギャグは今やらないなぁ」っていうのはありますね。
そのあたりはすごく時代を反映しているというか、やっぱりその時代だからできたテンポとか、言葉遣いだったりはありますね。

作品はその時代の人々を描いているので、「こういう空気感だったんだ」っていうのを残せる、"時代のサンプル"なんだなって思います。

●貴重なお話、ありがとうございました!


最後に、「来場しようと思っている読者やどうしようかなと思っているファンに向けてメッセージを」という質問に対しては、「かつてのベツコミが好きな方も、今のベツコミが好きな方も55周年の歴史を見て、新しく見ている方は昔のベツコミの作品はこんなに素敵だったんだと思うし、かつてのファンとして来られた方も"今"の作品もフレッシュで面白そうと絶対に思ってもらえるので、幅広くみなさん来ていただいて語っていただきたいなと思います。」と締めくくった。

最富キョウスケ先生、お忙しい中貴重なお話をたくさんありがとうございました!
いま迷っている人も、ぜひ「ベツコミ55th ANNIV. BEYOND THE PAGE 好き、のつづき。」に参加してみてはいかがでしょうか。

特設サイト:https://betsucomi-55th.flowercomics.jp/event

©赤石路代、秋里和国、芦原妃名子、新井理恵、和泉かねよし、宇佐美真紀、小畑友紀、紺野りさ、桜小路かのこ、田村由美、千葉コズエ、萩尾望都、ヒナチなお、藤沢志月、最富キョウスケ、吉田秋生、吉永ゆう、渡辺多恵子/小学館