コネ無し・職無し!あるのは燃える情熱だけ?0から億万長者越えの“100兆”プレイヤーを目指す「トリリオンゲーム」がアツすぎる!

アツい、アツいぞ…なんだこの熱は!
 「老後2,000万円問題」。
 金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書より、「老後30年間で約2,000万円が不足する」と受け取れる試算が示され話題となりました。
 とはいえ、お金に対する価値観や、求める生活の質は人それぞれ。金額に惑わされず、自分がどう暮らしていきたいかを考えながら、資産を形成していくことがーーーそんなことより、なんだ。
 なんだこのアツイ画は!
札束風呂!
年俸¥30,000,000!?
きらびやかな高層マンションがご自宅に!

リアルな劇画タッチで描かれるのは、かつてのバブル好景気を思わせるようなアツイ展開
「不景気?気のせいだろ」といわんばかりの大騒ぎを起こすのは、コミュ強の好青年ハルと、地道なエンジニアの卵ガク
 2023年7月よりTBS系でのドラマ放送が始まり、話題も、情熱も沸騰中!若き二人の主人公が目指すのは億万長者を飛び越した100兆円プレイヤー!
 短い人生、稼いだもんの勝ち? しかし、ストーリーが注目される理由はお金が全てではないようです。
 熱い展開がますます加速する『トリリオンゲーム』。その熱の秘密に迫ってみましょう!

 ときは戦国――、いえ学生たちがこぞって喘ぐ大就活時代!
 面接会場を人気芸人のようにドッと湧かせるこの好青年は、ハル。面接で受けそうなエピソードを連発しつつ、面接を審査する側であるお父さん世代のヨイショも忘れない。その結果就活の内定率はなんと100%!
 調子の良い話に「きみ、話盛ってない?」と、聞かれますが、盛っているのではありません。なんと! 全部が嘘なのです。
 どうやらこのハルくん、計算高く人の心を魅了する一方、悪いことへのブレーキがない。どう考えてもヤバいやつだ!
 そんな、ハルとは対照的に、受ける端から全敗の「お祈りメール」のラッシュをいただいているのが、口下手であがり症の、ガク
 独学ながらプログラミングの知識に長け、エンジニアとして働く情熱を持ちながら、本番に弱く、しゃべるのも全然ダメ。ここぞというところで自分を売り込むことができません。
 最後、本命だったIT老舗の大企業「ドラゴンバンク」の面接にも挑みますが、結果は不採用……。元気出してぇ。

「受かったけど、今辞めてきた!」
 実は『トリリオンゲーム』はこの正反対な二人が主人公なのです。
奇しくも、同じドラゴンバンクの採用面接を受けていたハルとガク。コミュ力満点のハルは無事採用となったにも関わらず――、なんと折角の花の内定に蹴りを入れ、入社辞退!

 しかもその理由は「ガクが受からなかったから」だと言うのです。
 「俺みたいな口とハッタリで世渡りするみたいな奴と、ちゃんと腕のある奴が両輪になるんだよ」と。そう、誰よりもガクのプログラミングへの知識や実力を見抜いていたのは面接官ではなく、ハルだったのです。
 「片輪しか採らねえような会社は――、入って育てるよか買い叩く。」
 そう軽やかに、自分たちを採らなかった大企業を買い叩けるよう100兆円トリリオンプレイヤーになると…、大胆な宣戦布告を告げるのです!

✔展開がアツい!

……からの、軍資金0円――!?
 大口叩いたら、即実行! 就職先が無いなら自分たちで立ち上げれば良いじゃない、と二人で10万円ずつ出し合い20万円の資金で起業したガクとハル。しかし、破天荒ボーイハルによってその軍資金はあるモノへと変貌してしまいます……。
 でも、そこにはちゃんと理由があるのです。
 一見考え無しのハルの行動の裏を知り、一途に頑張るガクを見ているとつい応援してしまいたくなってしまう。見事なストーリーテリングに唸ります。

原作を手掛けるのは稲垣理一郎先生!
 マンガ原作者として、ストーリーキング受賞歴も持つ稲垣理一郎先生。『アイシールド21』や『Dr.STONE』など、有名ヒット作を次々に手掛ける売れっ子作家です。
 興味関心の分野も広く、卓越した知識量を背景に生み出される先の読めない展開。それでいて王道を踏まえ、読む人の心を強く揺さぶるストーリー構成は見事の一言。
 コンテンツが溢れる昨今、奇を衒った作品が多い中、努力やひたむきさにはちゃんと目を向けてくれる誰かがいるという物語の真っ直ぐさにはどこかほっとするものを感じます。
 プログラミングの知識もあり、ご自身によるオリジナルのコンピューターゲームを作る趣味もお持ちなようですから、ガクの目を通して見える世界はもしかしたら稲垣先生がかつて感じたものなのかもしれません。

✔絵柄がアツい!

軍資金0円なので、出資してくれる人を探そう!
 と、いうことでまさか声を掛けたのは、自分たちを蹴り、同時に自分たちも蹴ったIT大手「ドラゴンバンク」の社長令嬢にして取締役、桐姫さんだったのです。ってそんなバカな!
社長の愛娘だから、大企業の取締役? ワガママ姫と影で囁かれる桐姫ですが、実はキュートな外見に反して鋭い牙を隠した切れ者ガールだったりするのです! 怒らせると怖いぞ~!
そして、そろそろここを言及して良いよね。絵柄が! アツい!
 『トリリオンゲーム』の作画を手掛けるのは、漫画作画における大御所、池上遼一先生! 手掛けた作品は数知れず、ヒット作も多数。なんとその画業は60年に及びます。絵柄はもちろん、生涯現役ともいえる仕事のスタンスが格好良すぎます……。
 その特徴は語るよりも見て分かる、濃密さ!
おじさんの顔だけで怖い。こんな絵そうそう描けるもんじゃございませんよ。
 グレー表現であるトーンを用いず、線の強弱や斜線によって表現される影。力強いペンのタッチによって浮き彫りになるキャラクターの輪郭ははっきりとした印象を作ります。
 そしてこのパワーみなぎるハードボイルドな絵柄で綴られる――意表を突いたおとぼけ展開! と、思えばばしっとキメてくれたり、もう、そのギャップに釘付けです。

✔熱が、熱を生んで…更にアツい!

熱くなるのは若者だけの特権じゃない!
 0からの出発ながら、なんとか投資を募り、アイディアを資本にオリジナルの事業を開始。危なげながらもハルとガクは自分たちを世界に売り込んでいきます! さらに雇用を進め、巻き込む人を増やしていく内に……、段々と二人の熱は周りにも伝播していくのです。

 個人的に胸をくすぐられたのは、花屋のチェーン、密園フラワーとのエピソード。
ご覧ください、この画力。心の読めない笑顔が強い!クセは強いが、髪のキューティクルと、心の芯は真っ直ぐな社長、密園さんは私の推しキャラです。
 社長である蜜園女史は無名のガクとハルの「ハッタリAI」の営業を一目で見抜き、最初は試練を科しつつ、その仕事ぶりに惚れ、彼らに力を貸してくれるようになります。
 しかし、事業が波に乗るころ思わぬ事態を迎えるのですが――、そこでこぼした本音に互いの信頼は深まり、後々彼らに大きく支援をしてくれるような投資元へと変わっていくのです。
100兆円あっても買えないものがある
 むこうみずで危なっかしくも、生意気。でも妙に人を引きつけるハル、ひたむきに努力を続けるガクだからこそ、彼らを見守る先輩達も自然と力を貸して上げたくなる。それは本作が掲載されている青年誌『ビッグコミックスペリオール』(小学館)の大人世代読者の共感にもつながっているようです。
 莫大な資産を築いていく『トリリオンゲーム』ですが、人の心を動かすものは、お金ではないというアツいメッセージが込められているようにも感じます。
 キャラが、話が、絵がアツい『トリリオンゲーム』!
 これからさらにどのように盛り上がっていくのか、物語の続きが楽しみです!

▼ 作品情報 ▼

トリリオンゲーム

著・原作:稲垣理一郎 / 著・作画:池上遼一


(C)稲垣理一郎・池上遼一 / 小学館