【展示会レポート】連載50周年記念特別展『「さいとう・たかを サバイバル」生き抜く力を、すべての人に。​』は、いまを生きる私たちに大きなヒントを与えてくれる。

2025年7月19日(土)〜10月13日(月・祝)の期間、トキワ荘通り昭和レトロ館(豊島区立昭和歴史文化記念館)1F多目的室1​ にて開催される、連載50周年記念特別展『「さいとう・たかを サバイバル」生き抜く力を、すべての人に。​』のメディア内覧会が、一般公開前日の2025年7月18日に開催されました。

『サバイバル』は、劇画家さいとう・たかをが1976年から1978年にかけて、「週刊少年サンデー」(小学館)誌上にて連載した作品です。
日本が戦後初めて経験した大地震・阪神淡路大震災の"20年前"に描かれた『サバイバル』は、中学生の主人公サトルが、突然の大地震により荒廃した日本で、たくましく生き抜いていく物語。

大地震をはじめとするさまざまな自然災害、世界的なパンデミック、気候変動、いま日本に生きる私たちには常に新たな脅威にさらされ、そのたびに生き方を考えさせられる事も多い。
そんな"いま"だからこそ、『サバイバル』の世界は胸をうつ。

今回は、そんな連載50周年記念特別展『「さいとう・たかを サバイバル」生き抜く力を、すべての人に。​』のメディア内覧会の様子をお届けします!

◆イベント概要
【展覧会会期】
​ 2025年7月19日(土)〜10月13日(月・祝)​
​​  ※月曜日休館(祝日の場合は翌平日休館)

​​【開館時間】  
​ 13:00〜18:00(入館は17:30まで) ​

​​【会場】    
​ トキワ荘通り昭和レトロ館(豊島区立昭和歴史文化記念館)1F多目的室1​
​​ 東京都豊島区南長崎3-4-10​

​​【アクセス】   
​ 西武池袋線 椎名町駅・東長崎駅より徒歩約13分​
​​ 都営大江戸線落合南長崎駅より徒歩約8分​
​​ 都営バス 南長崎二丁目より徒歩3分​

​​【観覧料】   
​ 無料​

【主催】
 株式会社T.S工房

​​【共催】    
 豊島区、​一般社団法人マンガナイト

​​【制作】       
​ レインボーバード合同会社​

【協力】       
 株式会社さいとう・プロダクション

【キービジュアル/広報物デザイン】 
 奥田奈保子(NiNGHUA)

​​【お問い合わせ先】 ​
 一般社団法人マンガナイト 070-5019-4965(共通)

展示を通して伝える「生き抜く力」​ 。

『サバイバル』は、中学生の鈴木サトルが友人たちと洞窟探検をしている最中、突如巨大地震に襲われるところから物語がはじまる。
友人とはぐれた彼が外へ出てみると、地形は激しく変化し、陸続きだったはずの場所が周りを海に囲まれた小さな島に…。たった一人になってしまったサトルは、家族に再会したいという強い想いから、知識と知恵を振り絞り、失敗や経験を積み重ねて、生き残る方法を模索し実践して身につけてゆく――。

そんな『サバイバル』の作中でサトルが辿った道のりやその行動を通して、彼がどのように過酷な状況を生き抜いていったのかを振り返るよう構成されている。
展示されている複製原画には、「さいとう・プロダクション」での分業制作体制の確立がもたらした成果としての、精緻で迫力溢れる作画の数々、そして熱意と迫力を間近に感じることができる。

近年わたしたちの身近でも、世界的なパンデミック、能登半島地震、各地の大雨による災害など、多くニュースで報道されている。
サトルのように『サバイバル』を強いられる危機的状況になるかもしれない。
そんな"いま"だからこそ、「生き抜く力」を原稿を通して伝えてくれるかのようだった。

サトルは常に前を向く。

『サバイバル』の作中では、よくサトルの"背中"が描かれている。
これは決して、後ろ向きな感情や表現ではなく、サトルが前を向いているからその背中を写しているのだと解釈している。
どんな困難に襲われても、サトルは知識と知恵を振り絞り乗り越えていく。
それは、戦いでもあり、冒険でもあり、生き抜くという事だ。
真正面から問題や困難に向き合い、目標のために解決して前に進み続ける。
そんな姿にわたしたちの胸は熱くなり、勇気をもらい、夢中になるのだ。

地震や自然災害がまだ少なかった時代に、『サバイバル』という作品は、この未来を予見しているかのように、地震という現象に対しての解像度を高く、その恐ろしさを緻密に描きだしている。

この展示会では「アナログ VR BOX」という体験型の展示もある。
これは、サトルがそのサバイバル生活の中で見た光景をリアルに体験することができるものだ。
箱の底面が空いており、その中にもぐりこむことで、360°サトルが見た鮮烈な光景を目にすることができる。
非常にユニークな展示方法ではあるが、この『サバイバル』という作品を知るうえでも、ぜひ体験していただきたい。
わたしたちも、こんな光景が広がったとき、サトルのように前を向けるだろうか。

クイズ企画、オリジナルグッズなども

展示の最後には、『サバイバル』に関するクイズコーナーや、「『サバイバル』と、さいとう・たかを」というメッセージパネルが設けられている。
どのように作品を作りあげられたのか、読者にどのように受け止められたのかなどが語られる。
従来のファンはもちろんだが、もはや絵空事ではなくなったような"いま"を生きる読者たちにも必見だ。

さらに、『サバイバル』50周年記念のオリジナルグッズも展開している。
新たにデザインされた作品名ロゴと記念ロゴマークがプリントされたタオルや、主人公サトルと、作中で強烈な印象を残すネズミの姿をかたどったアクリルスタンド、クリアファイルがラインナップ。

併設のマンガピットでは、カプセルトイや作品が読めるブースを設けるなど、展示以外にも楽しむことができる。
貴重な展示はもちろんだが、こちらも貴重なグッズとなる。合わせてチェックしておきたい。

漫画の聖地で名作を

今回の展示は、いまを生きるわたしたちにもメッセージが強く、かつ漫画の名作として貴重な展示会だと感じた。
このトキワ荘通りという漫画の聖地で、終末冒険漫画の名作をぜひ堪能してみてはいかがだろうか。

館内は非常にきれいで、展示も古臭さを感じさせない工夫をたくさん感じた。
『「さいとう・たかを サバイバル」生き抜く力を、すべての人に。​』のメインビジュアルも、アートな方面からデザインされている。

漫画ファンなら必見の展示。
2025年7月19日(土)〜10月13日(月・祝)​までなので、はやめにチェックしておくことをおすすめする。
https://survival-satoru.live/