亡くしたはずの最愛の女性が、生まれ変わって帰ってくる!『妻、小学生になる。』は見た目は事案!?だけど純愛ドラマ!

身近で大切な誰かを失った経験はありますか?

 俯瞰してネットニュースやテレビを眺めると「訃報」は日々溢れています。
 でも、不思議なことに生きている私たちは、「いつかは死が訪れる」という当たり前の事実を忘れてしまうのです。
 いのちはいつかは費えてしまう。

 わかっていても身近な誰かの死は、なかなか受け入れられるものではありません。さらにそれが突然や不慮のものであればショックを受けるのは当然。

「幽霊で良いから、もう一度会いに来てくれたらいいのにね」

 と、いうのは亡くなった家族に向けて新聞の投書欄へと寄せられた言葉。気持ちがわかるような気がします。
 死んでしまった大事な人にどんな姿であっても帰ってきてほしい――、
 例え他人に生まれ変わったとしても。
 ということで、さすがはコミック。
 2022年、1月よりTBSにてドラマ放送開始で脚光を浴びる本作。『妻、小学生になる。』ではそんな荒唐無稽が実現しちゃいます!
 男やもめの主人公、新島圭介にいじまけいすけの前に現れたのは――、なんと小学生に生まれ変わった最愛の元妻:貴恵たかえ

 10歳になって、急に“前世”の記憶を思い出したという彼女は、見た目は小学生なのに中身はアラフォーのしっかりお母さん。
 生まれ変わった最愛の妻:貴恵と、やもめ:圭介の転生する超・歳の差純愛コメディーの開幕!?
 とはいえ、傍目の印象は完全に事案です!
 さらに、ストーリーも一筋縄ではいきません。奇跡はどうして起こったのか?
 面白いばかりの都合の良い展開に収まらないドラマな同作の深い魅力に迫っていきましょう。

 新島圭介は10年前に最愛の妻:貴恵を交通事故にて突然亡くし、未だその失意の底から回復できていません。
 彼には貴恵の忘れ形見でもあり、守るべき娘である麻衣が残されているのに、上手くコミュニケーションは取れず、食事もコンビニ弁当のお惣菜だよりの体たらく……。

 そんな余生のような日々に、突然嵐がやってくるのです。

「ただいま。信じられないかもしれないけど、わたしは10年前に他界したあなたの妻よ」
 そういって胸を張り、圭介と麻衣の前に現れたは、ランドセルを背負った10歳の少女?
 だけど、彼女は自身と妻である貴恵でしか知らないような思い出を語るのです。

 見た目は確かに知らない女の子だけれど――、最愛の妻の本質に触れ、この小学生の少女が生まれ変わった元妻であることを確信する、圭介。
 奇跡のような再開に感極まるのもつかの間――、
「ところで、なに?この食事!夕飯だけは彩りのある食卓にしようって決めたでしょ!」
 まさかの小学生からのお説教!
 そう、見た目は少女でも中身はしっかり者の元妻。
 早速、妻であり、母である自分を失って時間の止まってしまっている新島家を叱咤します。
 「私の欠落を乗り越えて前向きにいきてほしい」と願う、見た目は小学生の貴恵ちゃんです。

✔見た目はどうみても事案!?

「お前が、18歳になったら結婚しよう」
 一度失った最愛の妻が帰ってきた!しかも隙を見てはお弁当を差し入れたり、何かと自分の世話を焼いてくれる貴恵の姿が、圭介は嬉しくてなりません。
 「あと8年したら、また結婚できるな」と、純粋な想いから告げるのですが……、その年齢差は約30歳。
 素直に言っていいですか?
 30代後半の男性が10歳の少女に掛ける言葉としては結構ゾッとする怖い台詞です。
 そう、圭介は妻を溺愛するあまり、周りの現実がみえていないような……、でもそんな彼の行動を揺るぎないものにしているのが、「最愛の妻である:貴恵」という存在を一度失っているという事実にあるのです。

「一度は零れ落ちた幸運にまた巡り合えた。今度は絶対に後悔したくない、お前と夫婦でいられる一分一秒を、ごまかしや演技で費やしたくはないんだ」
生前「これからまだ一緒にいられる時間はたっぷりあるんだ」と幸せな夫婦生活を送っていた圭介と貴恵、しかし、その別れは突然だったのです。
 明日は今日の延長で、愛する人が隣にいる。その奇跡のような幸福がいつの間にか当たり前になってしまっていた。
 かけがえのない存在を失い、後悔したからこそ、この瞬間を無駄にしないと直向きな想いをぶつけます。

✔生前の繋がりと、今のいのちと

 見つかれば即時案の純愛関係。でも生まれ変わった「貴恵」――、万理華には新たな人生があり、そして彼女自身は「自分の死を越えて新島家が幸福を掴めるように」と望んでいます。

 万理華の家庭事情。圭介への誘惑。様々なハプニングにもさることながら、さらに圭介の娘であり年頃の麻衣にも変化が…?
 夫として生まれ変わった妻と想いを育んでいる場合ではありません。父としても圭介のやること、支えるべきことは目白押し!
 そんなときに妻として支える「貴恵」にも様々な事情が渦巻きます。

 そう都合よくハッピーエンドの幕は降りず「続く」人生の面白さが垣間見える同作。
 ぜひその結末を見届けてください。

▼ 作品情報 ▼

妻、小学生になる。

著者:村田椰融


(C)村田椰融 / 芳文社