第7回さいとう・たかを賞授賞式が開催。受賞作品は極限の時を生きた男たちの物語「ABURA」

 2024年1月16日(火)に第7回さいとう・たかを賞授賞式が東京銀座の三笠会館本店で行われた。受賞作品を昨年12月に発表、この度授賞式が開催される事となった。
  
 さいとう・たかを劇画文化財団・評議員でもある齊藤輝子さんがはじめに登壇され、「今回の受賞作品は男の浪漫と潔さが全面に出た、先生の真骨頂の作品だと思います。これからも素敵な作品を世に送り出してくださいますようお祈りしております。」とご挨拶・感謝の意を述べられました。
  
 受賞作品は『ABURA』(原作:NUMBER 8、作画:貘九三口造、小学館 マンガワン掲載)。
 受賞者となったのは、
 原作・NUMBER 8さん、作画・貘九三口造さん、編集者・小林翔さん、編集者・和田慎平さんとなりました。
  
 選考委員の作家・佐藤 優さんがプレゼンテーターを務め、賞状が送られました。
 緊張した様子でありながら堂々と次のように感謝の気持ちを述べられました。
  
 ■原作・NUMBER 8さん
 「この賞が欲しくて欲しくてしょうがありませんでした。なにより、チームに賞をくださるというところが本当に素晴らしい事だと感じています。貘九三口造先生は僕のシナリオを素晴らしい絵で描いてくださり、和田さんも小林さんも素晴らしい編集をしていただきありがとうございます。」
  
 ■作画・貘九三口造さん
 「この作品はこのチームでなければできなかった作品だと思います。絵の選択にあたって迷ったときに「貘九さんでしか描けない絵でいこう」と言ってくれた大好きなチームです。また、取材に快く応じてくださった皆様の心で出来上がった作品です。常に全力以上の力を注ぎ、とてもシビアな瞬間もありましたが、読者の皆様の応援のおかげでもあります。この場を借りてお礼をお伝えしたいと思います。」
  
 ■編集者・小林翔さん
 「我々、漫画編集者も制作のチームの一員としてさいとう・たかを賞を受賞いただけて大変光栄に思います。簡単に取れるものではないと思っていたものの作品が完結したあとに受賞のご連絡をいただいて驚きました。『ABURA』はNUMBER 8先生が貘九三口造先生の作画をみて提案をいただいてスタートした企画、史実を新しい切り口で丁寧な取材と考察で出来上がった作品です。チームとして誇らしく思っています。ありがとうございました。」
  
 ■編集者・和田慎平さん
 「焦点が当たる事が少なかった“油小路事件”の事をしっかり語り継いできた方々、この150年分の思いにNUMBER 8先生、貘九三口造先生、小林さん、敬意と愛情を持って制作に当たられていた事を間近で見てきました。本当にこのお3方でなければできなかった作品です。制作に携わらせていただけた事を光栄に思います。NUMBER 8先生、貘九三口造先生、小林さんおめでとうございます。」
  
  
 また、選考委員の代表としてシナリオライター・長崎尚志さんが登壇され、「切り口が斬新でリアリティのある作品で、4人の審査員全員が最初から高得点、実力どおりだったと思います。本当におめでとうございます。」と講評を述べられました。
 表彰のあとの記念撮影では受賞者の4人は笑顔とトロフィーを堂々と掲げ、和やかなムードで終了した。 

さいとう・たかを賞とは

 「シナリオ」「作画」の分業体制で制作された優れたコミック作品を評価する賞
  
 「さいとう・たかを賞」は2017年、『ゴルゴ13』連載開始50周年を記念して一般財団法人さいとう・たかを劇画文化財団が創設した、シナリオ(脚本)と作画の分業により制作された優れたコミック作品を顕彰する賞です。2021年に世を去ったさいとう・たかをの志を受け継ぎ、さいとう・たかをが長年、大人の読者に向けた本格ストーリーコミック作品を制作するうえで採用してきた、分業によるコミック制作システムに再び光を当てることを目的としています。
  
 受賞作品のシナリオライター・作画家・プロデューサーとしての担当編集者(または編集部)の三者それぞれには正賞としてさいとう・たかをデザインによる「ゴルゴ13像」を、シナリオライター・作画家のそれぞれに副賞として賞金各50万円を贈呈します。
  
 ■最終選考会選考委員
 池上遼一(劇画家)
 佐藤優(作家)
 長崎尚志(シナリオライター)
 やまさき十三(シナリオライター) 

第7回さいとう・たかを賞受賞作

 『ABURA』
 原作:NAMBER 8
 作画:貘九三口造
 小学館「マンガワン」連載
  
 <作品紹介>
 時代は幕末の京都、新選組から分派した者たちをめぐる戦い”油小路事件”を描く。壮絶な剣劇と仲間への想いが交錯するアクション時代劇。 

第7回さいとう・たかを賞受賞者

■原作/NUMBER 8(なんばーえいと)
<プロフィール>
 出版社勤務の後に独立。
 NUMBER 8名義で『BLUE GIANT』シリーズのstory directorを務め、映画脚本やスピンオフ小説『ピアノマン』(南波永人名義)の執筆など、多岐に渡って活動している。
 漫画原作者としては『風の槍』(作画:矢野日菜子)で連載デビュー。他の作品に『サラリーマンZ』(作画:石田点)がある。

■作画/貘九三口造(ばく・さくぞう)
<プロフィール>
 2019年「ジヘン」にて『タロウ~進化する殺戮~』(原作:日向奈くらら)を連載し、漫画家デビュー。
 その他の作品に『天使の囀り』(原作:貴志祐介)などがある。本格的な時代劇作品を手掛けるのは『ABURA』が初となる。

■編集者/小林翔(こばやし・しょう)
<プロフィール>
 2008年小学館入社。「CanCam」編集部を経て「少年サンデー」編集部でWEBサイト「裏サンデー」を創刊。2014年に「マンガワン」編集部として独立し、現在 副編集長を務める。担当作品に『ケンガンアシュラ』『モブサイコ100』『だがしかし』『青のオーケストラ』『灼熱カバディ』『ダンベル何キロ持てる?』『雷雷雷』など。

■編集者/和田慎平(わだ・しんぺい)
<プロフィール>
  2014年、編集プロダクションに入社。編集者・ライターとして、ゲーム攻略本などの制作に携わる。2020年より独立、フリーランスとして「マンガワン」編集部に参加し、漫画編集者となる。担当作品に『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い@comic』『怪物中毒@comic』『アヤシデ』『江口さんはゲーム脳』など。

第7回さいとう・たかを賞受賞作品『ABURA』複製原画展

  2024年1月19日(金)からは、東京都豊島区で複製原画展も開催されます。
 【1/19-2/12】第7回さいとう・たかを賞 受賞作品『ABURA』複製原画展 開催のお知らせ
 「マンガナイトBOOKS・E Gallery」で、第7回さいとう・たかを賞受賞作品『ABURA』(原作:NUMBER 8、作画:貘九三口造)の展示を行います。
  
  
さいとう・たかを賞公式サイト
第7回 さいとう・たかを賞 | さいとう・プロダクション
一般財団法人さいとう・たかを劇画文化財団は、小学館の後援のもと 『さいとう・たかを賞』を設立しました。この賞は、分業・プロダクション方式でのコミック制作を貫いてきた 「さいとう・たかを」の志を受け継ぐコミック制作者に光を当て表彰し、その制作文化の継承を行うことを目的としております。
(C)NUMBER8・貘九三口造 / 小学館